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日中貿易一考   

 最近ある島の所属に関して、日中両国はもめているところです。マスコミの報道によって、中国から日本に対して経済制裁する動きがあるようです。ある世論は日本に対して経済制裁する場合は中国国内に大量の失業者が出てしまい、共産党に対して暴動をするのではないかとの意見もあります。
 日本貿易ジェトロのデータを借りて、初歩的に分析してみました。
 
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 上図は2009年から2011年の輸出データの比較です。日本の輸出上、全体的に、中国に対する依存度は2割弱ですが、年率10%の成長スピードです。米国への輸出はリーマンショック後の回復も見られます。韓国に対する輸出は2割大幅成長しました。
 
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 日本から中国へ輸出の詳細を見てみると、9割以上工業製品となり、その次は原材料項目となります。
 一方、中国から輸入の状況はどうなりますでしょうか。
 
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 なんと輸入のデータと輸出のデータは非常に似ることが分かりました。
 このデータは日中経済の活発的な動きをそのものを説明できると思います。
 過去、一般的に、先進国と発展途上国との貿易関係では、先進国は発展途上国から原材料を輸入し、精錬や、精加工などをして、Uタウンで発展途上国へ輸出するとの形でした。つまり、一般的に各国の比較優位にある産業を伸ばし、貿易を盛んでくることです。貿易が盛んでくると、国内の産業チェーンは徐々に完成し、より高度な仕事が対応できる段階になると、先進国からより低コスト的なメリットがある為、途上発展国へ産業を移転になります。いわゆる先進国の国内産業空洞化のことです。さらに発展すると、もともと外国へ頼り、輸入アイテムはようやく国内でまかなうことができると、貿易上の逆転になります。
 現在、日本と中国の国際貿易はちょうど発展途上の段階になり、従って、お互いに2割ほどの輸出関係になっている。もちろん、このデータの中に、中国国内で加工して、日本以外の諸外国へ輸出するものを含めていない。また、中国国内の日系企業の地産地消も含まれていない。
 しかし、現在世界中主要な消費市場である中国は日本勢だけではなく、欧米勢、韓国勢のターゲットにもなることで、日系の電機メーカーは中国市場に参入できなくなることによって、海外のライバルに体力付けのチャンスを与えてしまうことになります。
 中国にとって、日本への輸出できなくなることによって、国内諸産業のアップグレートのスピードが遅くなってしまう可能性ががあります。最悪の事態を避けてほしいですね。

 追記: 2011年1月 JETROのレポート「世界経済・貿易・直接投資の現状」のレポートにある表をお借りします。
  
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  取引金額では中国はダントツ1位で、国際貿易収支上は対日本赤字になります。日本は世界中ほとんどの国に対する国際収支は黒字になっています。
  2010年のデータを使って、お互いに輸出入の依存度を比較した結果:
   輸出上、 日本 ⇒ 中国  18.7%  
         中国 ⇒ 日本  7.6% 
   輸入上  日本 ⇒ 中国 22.1% 
         中国 ⇒ 日本 12.6%
  
   この結果を見ると、中国政府は日本に対する経済制裁の強気のわけが多少分かってきました。
   
   逆に、韓国の場合は日本からの輸入に15%以上、東南アジア諸国も日本に対する依存度が高いことによって、なかなか日本と非協力的なことがやれないわけです。特に台湾とタイでもそうです。一方、これらの国は親日的な環境があったからこそ、よりやりやすい投資環境が整えたりしているのもかんがえられますのでしょう。
   

  

by chouhei1980 | 2012-09-21 21:16 | 経済

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